乳酸菌は菌株に応じて様々な特徴があります。
同じLactobacillus plantarum菌でも菌株が異なると発酵後の性質に差が生じることから、
その菌株を分離した環境が、乳酸菌株の持つ能力に大きく影響していると考えられます。
それぞれ異なる環境で分離した菌株でジュースを作った場合 | |||
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菌を分離した環境 | 特徴 | 発酵速度 | ジュースの飲み口 |
A株(果実由来) | さわやかな酸味 | 普通(約16時間) | すっきりとした飲み口 |
B株(野菜由来) | 強い酸味 | 早い(約8時間) | 刺激的な飲み口 |
C株(穀物由来) | 酸味なし | ゆっくり(約24時間) | マイルドな飲み口 |
保水性向上 | 乳酸菌がデンプン等を発酵・改質することで、食品素材としての保水性を向上させます。 |
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油脂の乳化作用 | 乳酸菌がデンプン等を発酵・改質することで、米デンプンによる乳化作用を向上させます。 |
防腐作用 | 乳酸菌の生成した乳酸によるpH低下作用と、乳酸菌が他の菌を抑制するために生成するバクテリオシンによって防腐効果が見込めます。 |
テクスチャーの改善 | 乳酸菌が生成する酵素により食品素材が改質され、食品のテクスチャー改善が見込めます。 |
食味・香味の向上 | 乳酸菌の生成するアミノ酸・有機酸や芳香成分により旨味・香りを付与し食味を向上させます。 |
植物の生長促進 | 乳酸菌が根圏の環境を整えることにより、植物の栄養吸収が良くなり、生長を促進させます。 |
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菌株それぞれの特徴を考慮し、2菌株以上を組み合わせた「複合発酵」で、菌株の増殖速度や生成物質の違いを利用して発酵対象に新たな価値を生み出します。
例えば、豆乳をA・Bの2菌株で複合発酵した場合、A株によるpH低下で生じる凝固作用とB株が作り出すコクにより豆乳をチーズのような味わいに変化させることができます。
また、A株が早期に優先種となることでB株が増殖しやすい環境を作り出す相乗効果も生まれ、効果的な発酵を行うことができます。
このように、組み合わせる菌によって様々な変化が生じ、まだ見ぬ新たな価値の創造が可能となります。
乳酸菌の持つ発酵の力は、まだまだ多くの可能性を秘めています。